職人か芸術家か
きもの紋入れまつもとです
2020年10月25日、東京国立近代美術館が石川県金沢市に、通称、国立工芸館として移転、開館致しました。伝統工芸~現代アートまで幅広く発展している石川県。新たな発信拠点として今後に期待されています。
私は職人です
このような仕事をしていますと、時折「おお、芸術的ですね。」と言われることがあります。そう言われれば悪い気はしませんが。
私の仕事はあくまでも職人仕事です。伝統工芸と言えるものとも違います。
厳しい修行生活、そして多くの経験を積み習得した、卓越した技術を売るのが仕事です。昔は、紋入れの仕事は紋の上絵を描く事だけでした。今は、そのような分業ではなく、採寸、柄合わせをして紋の位置を決める。生地、染めを見て、抜き紋なら試験抜きをして薬品を決める事等々。
また、お客様の意見、好みを聞き、その意向を受け入れる事も職人にとっては重要なことです。
大切なのは、安定した仕事をすることであり、そこには芸術作品のような破天荒な価格設定はありませんし、芸術家が求める「独創性」もありません。
自分の表現を仕事にするのが「芸術家」
注文に従って、忠実に仕事をするのが「職人」