氷酢酸

金沢市 きもの紋入れまつもとです

この冬は暖かい日が多く、灯油の消費量が例年より少ないです。


今日は1月20日。二十四節気では「大寒」です。

この時期になると毎朝「氷酢酸」が凍っています。氷酢酸とはJIS(日本工業規格)、日本薬局方とも99%以上の酢酸のことです。

重亜硫酸ナトリウム、亜鉛末と氷酢酸を配合し三品改良剤として使います。古くから留袖、黒紋付の石持の漂白、抜き紋の際の還元抜染剤として必要不可欠なものです。

祖父の代から、寒い冬の朝、凍った氷酢酸の瓶をお湯に浸けて解かす事から始まるのがお馴染みの光景でした。家の中が酢酸の酸っぱい匂いになるんです。

抜き紋

昔の染物は、今紹介した三品改良剤だけで地色が家紋の形通り白くきれいに抜けました。

私が修行を始めた約40年位前からでしょうか、着物を染める染料の性質が変わったのか、三品改良剤だけでは黄色くなったり赤くなったりと抜き紋が非常に困難になってきました。そのような染めの地色も白く抜く技術を持った方もいたようですが高額な技術料だったようですね。

それなら自分が勉強して出来るようになれば良いだけです。染料を溶かす溶解剤、酸化剤も色々試し、自分の手に合うものを見つけ確立しました。学校の勉強よりずっと楽しく結果が伴いました。

今日の一曲
松任谷由実 – 中央フリーウェイ (Yumi Arai The Concert with old Friends)

前の記事

左義長

次の記事

描き紋