老舗の重み

きもの紋入れまつもとです

 「重み」とは。
 
 その人や物事から受ける重厚な、また厳粛な感じ。「伝統の重み」

老舗

金沢市尾張町。宝石、時計、贈答品を扱う老舗時計店。

私の祖父の代からお付き合いのあるお店です。今から30年程前に改装、リニューアルしました。

当時の社長談。「改装にあたり、設計士との打ち合わせで意見が分かれてね。」

社長は若い頃から、自動ドアのお店を作るのが夢だったそうです。ようやく、その夢が叶う改装。しかし設計士は自動ドアを真っ向から大反対。

「社長、前に立っただけで、さあ、いらっしゃい!みたいなお店でいいの?そんなに軽くていいの?」

「...?」

 お客さまは心を決めて、重いドアを押してお店に入られる。お帰りの際にはお店の人が重いドアを開けてお見送りする。

 それこそが老舗の歴史、風格、その重み。それを嬉しそうに話してくれた社長の顔を今でも覚えています。

もちろん、今でも重いドアです。

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