陰紋 日向紋
きもの紋入れまつもとです
「陰紋」「日向紋」 家紋用語の一種です。
染め抜き紋で説明します。日向紋は表現されている形全体を染め抜き、輪郭、中の線を上絵として入れます。陰紋は輪郭線や中の線を線の形とおりに染め抜き、それを囲むように上絵を入れます。紋を線で表現したものと言えます。
着物に紋を入れる時、「日向でいい?陰にする?」という会話が聞かれます。
日向紋とは
そもそも、「日向紋」という概念は存在しません。
いつ、どこから生まれたか不明である「陰紋」の存在ありきです。
黒紋付、黒留袖、三つ紋以上の色留袖など、正礼装として着用される着物には「日向紋」が絶対条件です。その場合、紋名に敢えて「日向」と表記される事はありません。
略礼装として着用される小紋、色無地、訪問着には仰々しくならないように、又、本家に遠慮して、という理由で「陰紋」が選ばれる場合があります。着物の紋を強調するか、控えめにするかという価値観が「正式」「略式」を使い分ける慣習になったのでしょう。
正礼装以外の着物にはすべて「陰紋」と言われる方もいらっしゃいますが、元々は日向紋が正規表現なので気にしすぎない事も大切です。
紋の種類はもちろん、地色や生地の持つ光沢等との兼ね合いによっても「陰紋」「日向紋」を決める大事なポイントがありますので経験豊富な呉服屋さんや、紋入れに携わる職人である私共に相談頂けたらと存じます。