抜き紋
きもの紋入れ 松本紋店です
「春来ぬと人はいえどもうぐいすの
鳴かぬかぎりはあらじとぞ思う」 壬生忠岑
快晴の金沢市です。 放射冷却で雪が融けた水が凍り歩くのも大変な朝でした。これだけ寒いと鶯の鳴声が聞かれるのもまだ先でしょうね。
早期天気予報によると、来週には再び寒気の影響で寒い日が多くなるようです。
冬の金沢では珍しい青空です
抜き紋
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当店が自負していることの一つが抜き紋の際の地色の抜染(家紋の形とおり着物の地色を白く抜く事)です。
お客様が抜き紋を希望しても依頼する職人の技術不足で「胡粉でお化粧してもいいですか?」←絶対にダメです。「描き紋、縫い紋はいかがでしょう?」という事はありませんか?
白い部分は白生地の色です 陰紋は細く抜く必要があります
職人にとって依頼された仕事がきれいにできないという事は本当に情けないことです。
金沢は最も高級な着物と言われる加賀友禅の産地です。加賀友禅の地色は堅牢度が高く、白く抜きにくいと言われています。若い頃はその地色の抜染が上手くできず悲しく惨めな思いをしました。
しかし、それを克服しないことには金沢で紋入れの仕事を続けていく事はできないと思い、一念発起し試行錯誤を繰り返す毎日となりました。当時、金沢には凄腕の職人が数多くおり色々と教えてもらったり、知識豊富な資材屋さんからヒントをもらったり、薬品のサンプルを分けてもらい試したり、自分なりの抜染方法を構築して現在に至っています。
どんなものもパーフェクトにとはいきません。それは当たり前です。物事には限度というものがあります。
そこまで深追いすると生地を傷めたりしまう等の危険が伴います。あくまでも安全に美しくです。お陰様で多くのお得意様から厚い信頼をいただいています。
宅配でのお仕事も喜んでお請けしています。よろしくお願いします。
今日の一曲 風笛(宮本文昭)Fumiaki Miyamoto