十大家紋

きもの紋入れまつもとです

 日本では、古くから「家」というものを重んじる歴史があり、家紋は平安時代から続く日本固有の文化です。

特に多く使われている家紋の原型

 平安時代、武家は戦場において個人を識別できるように「旗指物」と言われる「のぼり」に家紋を染め抜きしたものを使いました。

 その頃は、武将の好みの図柄が用いられ、一族が同門であることを示すための家紋を使いますが、徐々に最初の図案から変形したり図柄を加えたりと変化していきます。

 そのような世の中も終わり、江戸時代に入ると、家の格式や権威を表す印として使われ、家紋を入れた紋付の服装が武家の正装となってきます。その頃から家紋はデザインとしても洗練され図案としても整えられていきました。

 現在、6000~20000種類あるとされている家紋ですが、特に多く使われている原型を「十大家紋」としています。

 ●藤紋  祖先は藤原秀郷としています。藤の花と枝からできている図案であり、多くの種類があります。

 ●桐紋  皇室の文様でしたが、豊臣秀吉に下賜されたことで知られています。現在の総理大臣官邸では「五七の桐」が見受けられます。記者会見の演台にも入っていますね。

 ●鷹の羽紋  武士が好んだ図柄で、鷹狩が好きで勇猛な鷹を飼いならすことを誇りとしていた武士には憧れの存在だったようです。

 ●木瓜紋  唐花の文様が原型ですが、何をもとにデザインされたのかは分かっていません。キュウリの切り口に似ていることから「木瓜」紋と呼ばれるようになったとも言われます。

 ●片喰紋  日本中どこにでもある雑草で強い繁殖力を持つことから家紋として使われています。裏から見た図案やひねりを入れたり三盛してあったり、アレンジした家紋が多くあります。

 ●蔦紋  地面や壁にたくましく絡みつき蔓延ることが子孫繁栄につながるという理由で、武家にも庶民にも好まれました。

 ●茗荷紋  夏に薬味として食べられる野菜ですが、語源は「冥加」で神様や仏様の加護があるという意味になります。武家から特に好まれました。

 ●沢瀉紋  池や沢などに自生する水草の一種で、矢尻状の葉が盛り上がり群生しているさまは、矢を立てて並べたように見え武士に好まれ、勝ち草、勝軍草などとも呼ばれました。

 ●橘紋  「左近の桜、右近の橘」として有名なように公家の家紋として橘姓の家系でよく使われていました。

 ●柏紋  新芽が育った後に古い葉が落ちることから、子孫繁栄の象徴として武家に好まれました。端午の節句の柏餅も子孫繁栄の願いが込められています。

前の記事

真宗王国

次の記事

初めてのLPレコード